●155 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
●155 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
続いて、「Spore like Stem Cell は現在存在が確認されている成体幹細胞の分化能を有しているのではないか」という仮説を示すために、スフェア細胞の分化能を試験した。
たとえば、間葉系幹細胞は脂肪、骨、軟骨に分化できる幹細胞であると定義されている。
そのために、スフェア細胞が脂肪、骨、軟骨のみならず、その他の細胞腫にまで分化できることを示すことができれば、
スフェア細胞が間葉系幹細胞と同等以上の分化能を有していることを示すことができる。-図
●tamatabi20221028
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●156 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
●156 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
遺伝子発現の解析から、
一部のスフェアは多能性遺伝子発現を有していたことから、
分化能の試験においても多能性があるかを試験することにした。
細胞の多能性は、「三胚葉由来のすべての細胞に分化できる能力」と定義されている。
受精卵から体を形成する組織が作られていく時、
多能性を持つ細胞は
三胚葉という外胚葉・中胚葉・内胚葉いずれかの細胞変化を経て、
その後、胚葉ごとに由来の決まった組織を形成する。
現在、細胞の多能性を示すには、3つの方法がある。
一つ目は培養系での分化培養実験で、三胚葉系の細胞に分化可能であることを示すこと。
二つ目は免疫不全マウスの生体内への移植で、自発的な三胚葉由来すべての組織形成(テラトーマ形成)が観測されること。
三つ目はキメラマウスの作製が可能であることを示すこと。
この順に、細胞の多能性の証明の厳密さが増すが、同時に技術的な難易度も上がる。 ー図
●tamatabi20221029
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●157 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
●157 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
まずは培養系で、スフェア細胞に広い分化能があることを示す第一の実験に取りかかった。
スフェア細胞を三胚葉由来のすべての細胞へ分化誘導するために、
外胚葉系である神経系に分化させる培地、
中胚葉系の細胞に分化させる培地、
内胚葉系の肝臓の細胞に分化させる培地の三種類を用意した。
さまざまな組織から作製されたスフェアは、
スライドガラスの上で細胞培養ができる特殊な培養皿に入れられた分化誘導培地中に播き、
細胞の形態変化を毎日顕微鏡で観察した。ー図
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●158 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
細胞が分化すると、その細胞特有の形態に変化する。
たとえば、
脂肪に分化すれば分化した細胞内に油滴が観察され、
神経細胞に分化すればニューロンの繊維状の形態が観察できた。
二週間ほどで明らかな形態変化を見せる細胞もあれば、
6週間たってようやく細胞内の形態変化を見せるものもあった。
連日欠かさず細胞を観察し、細胞の形態変化を見逃さず、
ここぞという適切なタイミングで
分化した細胞に特有のタンパク質を検出する免疫染色を行い、証拠となる写真を得る必要があった。ー図
●tamatabi20221030
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●159 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
分化培養中に培養液を新鮮なものに交換をするなどの細胞の世話を怠ると、
細胞が分化して形態が変化する前に細胞が死滅してしまう。
プレゼンテーションを行った冬から夏になるまで、培養庫の中は分化誘導実験の培養皿で埋め尽くされた。
連日、研究室のメンバーと細胞の形態変化を報告しあい、分担して染色していく作業を行い、
スフェア由来の細胞が三胚葉系すべての細胞種に分化できる能力を有している証拠を得た。ー図
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●160 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
培養系で三胚葉系への細胞種への分化が確認されたので、
次は多能性を示すための2つ目の実験である免疫不全マウスへの移植実験を試みた。
ES細胞などの多能性幹細胞は、
免疫不全動物の生体内に移植すると自発的に分化し、
さまざまな組織を含む奇形種(テラトーマ)を形成する。
スフェア細胞はES細胞とは異なり、生体内での増殖性が低く、
ただ注入するだけではテラトーマを形成することはなかった。
しかし、研究室が得意としていた組織工学の技術を使ってテラトーマに似た組織を作ることができた。 -図
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●161 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
多能性を示すための3つ目の方法であるキメラマウスの作製は、設備的にも技術的にも取り込むことができなかったが、
こうしてスフェア細胞が
三胚葉に分化する前の幼弱な性質を保持しており、
これまで発表がある成体幹細胞よりも分化能を有しているという仮説を立証していった。
このようにして少しずつ論文化に向けたデータが蓄積されていき、
それらをもとにバカンティ先生と何度も議論を重ね、
論文の草稿を作製していった。
投稿先は「Proceeding of the National Academy of Sciences (PNAS)」いう雑誌に決まった。
バカンティ先生が思案の末に決めた投稿先だ。-図
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●162 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
PNASからの一回目の返事はメジャー・リバイスとマイナーリバイスの中間くらいの評価だった。
レビュワーコメントの中には、新たな性質を示す細胞の存在の証明を評価するコメントがある一方で、
スフェア細胞がどの程度の未分化性を示しているのか、
たとえばES細胞と同等の資質を示しているのかをさらに厳密に調べるべきだとするコメントも書かれていた。-図
●tamatabi20221101
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●163 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
ES細胞などの多能性幹細胞を、受精卵が何回か細胞分裂をした初期胚の中に注入すると、
ES細胞は初期胚と同等の増殖性を有しているため、
初期胚と融合し、ともに発生してマウスの個体が形成される。
白い毛色を有するマウスの初期胚に黒い毛色を有するマウス由来のES細胞を注入し、
うまくキメラマウスの皮膚にES細胞由来の皮膚が形成されると、
もともと白いマウスの毛色の中に、ES細胞由来の黒い毛色が観察され、見た目はパンダのようなマウスが形成される。
キメラマウスとは
一匹のマウスの中に、初期胚由来と注入された細胞由来の2種類の異なる遺伝子情報が共存するマウスであると定義され、
現在の生命科学界ではキメラマウスの作製が可能かどうかが、一番厳密な多能性の証明方法であると認知されている。-図
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●164 - 小保方晴子のSTAP細胞騒動・物語 [小保方晴子・STAP細胞ー物語]
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2022年 Obokata Haruko
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STAP細胞研究の経緯ー1
「小保方の研究力と洞察力」
新しい細胞の存在を発見したという論文の主題に対し、
既存の多能性幹細胞と同様の性質かどうか、同じ定義に当てはめられるのかを調べるべきだとするコメントに、
新規の性質を持つ可能性を伝える難しさを感じたが、それは当然ともいえる時代の流れでもあった。
当時はips細胞などの新たな多能性幹細胞研究の発展の真っただ中であり、
世界中からさまざまな因子を用いた多能性幹細胞開発の発表が相次いでいた。
多能性幹細胞の研究といえば
Oct4などの多能性マーカー発現の確認、生体外・生体内での分化能の確認、キメラマウスの作製が実験の定石のようになっていた。
そのために、キメラマウス作製の要求はある程度、予想されていたコメントでもあった。
-図
●tamatabi20221102
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